袷と単衣の着用時期は変化しています
着物には裏地のついた袷(あわせ)と、裏地の無い単衣(ひとえ)がある。これは、ジャケットやスーツと同じである。
かつて、着物を誂えるときには、まずは袷という考え方が主流であった。
何故なら、身に付ける時期が決まっているからである。
10月から翌年の5月までの8か月間は、袷の時期である。一年の内、8か月は袷を着る訳だから、袷を作った方が長く使えるという理屈である。
そして、6月と9月の2ヶ月間は単衣であり、7月8月の盛夏の時期は単衣であっても、絽や紗という風通しの良いものを身に付けるとされている。
(夏用の絽の黒羽織)
しかし、これは昔の日本の気候には合っていたかもしれないが、現在にはもう当て嵌まらない。
5月や10月に、裏地のついた袷なんかは暑くて着ていられない。4月や11月でさえ、暑くてどうしようもないとまでは言わないが、単衣の方が快適な日が多い。
つまり、今や、袷が必須な月は12月から3月までの4か月である。残りの8か月は単衣の方が適しているということになり、袷と単衣の地位(?)は逆転している。
袷と単衣、どちらにしようかと迷ったなら、単衣にする、という考え方が、今後は主流になるだろうと思う。
(僕の住んでいるのは千葉です。上の記事は千葉の気候を基準にしています)