言葉で混乱してしまう左前と右前とは
着物は右前(みぎまえ)で着ることになっている。男女共に右前である。
左前(ひだりまえ)に着ても、それほど大きな不都合は起きないだろうが、この右前で着るという伝統は千年以上のものであり、余程の信念がない限り、やめておいた方がいいだろう。
それに、「左前になる」という言葉は、物事がうまくいかないという意味だから、あまり好ましいものではない。
ただ、時々ではあるが、間違っている人がいる。
これは、右前という言葉に誤解を与える要素があるからである。
右前で着物を着ると、着物の右側の上に左側の布がかぶさる形になる。つまり、左側が前になる。
右前というのを言葉だけで覚えてしまうと、着方としては左前になってしまうのである。
間違いを防ぐためには、前を「まえ」と読むのではなく「さき」と読むように覚えた方がいい。
つまり、着物を右手と左手で持って、
次には、右手で持っている方を前(さき)に身体に持っていく。
そして、左手で持っている方を、その上に重ねるのである。
これで、右前の着方が完成する。
ごく初歩的なことではあるが、初歩的だからこそ間違えないようしたい。